インクリメンタルエンコーダ信号タイプ
インクリメンタルエンコーダは、回転の増分を反映するパルス信号を出力する装置です。エンコーダのシャフトが回転するたびに、一連の均等に間隔を空けたパルスが生成されます。これらのパルスをカウントすることで、制御システムは移動量、速度、回転方向を計算できます。インクリメンタルエンコーダは通常、正方波またはサイン波の信号を出力し、速度と位置の制御アプリケーションに最適です。
インクリメンタルエンコーダの動作原理:
パルス信号:シャフトが一定の角度を回転するたびに、パルスが生成されます。
方向信号:A信号とB信号の位相差を分析することで、回転方向が決定されます。
参照信号:一部のインクリメンタルエンコーダは、ホームポジションなど特定の位置を示すZ信号も出力します。
インクリメンタルエンコーダは、相対位置データのみを提供し、絶対位置のフィードバックはありません。そのため、システムが停電または再起動すると、位置データは失われ、エンコーダをリセットする必要があります。このタイプのエンコーダは、絶対位置の追跡が必要ないアプリケーション、例えばモーター制御やオートメーションシステムでの速度・方向監視に適しています。
アブソリュートエンコーダ信号タイプ
インクリメンタルエンコーダとは異なり、アブソリュートエンコーダは各位置に固有のコードを提供し、絶対位置を直接出力します。各位置には特定のバイナリコード(またはグレイコード)が割り当てられ、エンコーダは電源が切れても位置を記憶し、リセットなしで動作を再開できます。
アブソリュートエンコーダの動作原理:
アブソリュートエンコーディング:各位置には一意のコードが割り当てられ、相対位置を計算する必要がありません。
出力信号:エンコーダは現在位置を示す固定されたバイナリ値を出力します。異なるエンコーディング方法(バイナリコードやグレイコードなど)を使用することができます。
停電保護:電源が切れても位置が保持され、再起動時にそのまま位置を復元します。
アブソリュートエンコーダは、精密な位置決めと高い信頼性を必要とするアプリケーションに最適です。CNC機械、ロボティクス、オートメーションシステムなど、高い安定性と精度が求められるシステムで広く使用されます。
インクリメンタルエンコーダとアブソリュートエンコーダの信号タイプ比較
特徴 | インクリメンタルエンコーダ | アブソリュートエンコーダ |
---|---|---|
信号出力 | パルス信号を出力;一定の回転角度ごとに1パルスを生成 | 各位置に一意のコードを出力 |
位置データ | 相対位置を提供;外部カウンタが必要 | 絶対位置データを提供;外部カウンタは不要 |
停電後の動作 | 停電後に位置データが失われ、リセットが必要 | 停電後も位置が保持され、再ゼロ設定は不要 |
アプリケーション | 相対位置、速度、方向制御に適している(例:モーター制御) | 高精度で信頼性の高い位置フィードバックが必要な場合に適している(例:CNC機械、オートメーション制御) |
コスト | より低コスト | より高コスト |
複雑さ | シンプルな設計、経済的 | より複雑な設計、より多くの機能を提供 |
あなたのニーズに合ったエンコーダはどれか?
インクリメンタルエンコーダとアブソリュートエンコーダの選択は、アプリケーションの要件によります。位置、速度、または方向の相対的な追跡が必要で、停電後に位置データを保持する必要がない場合、インクリメンタルエンコーダは迅速な応答時間とコスト効率の良い選択肢です。一方、精密な位置フィードバックと停電後に位置データを保持する必要がある場合、アブソリュートエンコーダは高い信頼性と精度を提供します。