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鉱山用送風機のエンコーダ:安全性・安定性・VoD制御の要

なぜ鉱山用送風機にエンコーダが必要なのか

坑内換気は鉱山の生命線です。可変な条件下でも主扇補助扇を安定高効率安全に運転するため、エンコーダ(速度/位置フィードバック)は現代の監視制御に不可欠な構成要素になっています。本稿では、鉱山用送風機におけるエンコーダの役割、安全と省エネへの貢献、選定時の勘所を整理します。

1) 鉱山用送風機にエンコーダが必要な理由

安全:主扇局部扇は坑内気流の要です。回転数異常や気流の不安定化は、ガス滞留や粉じん危険につながり得ます。正確な速度監視はインターロックと警報の前提です。
省エネ:需要連動換気(VoD)などの変動運転では、リアルタイムの速度フィードバックにより、ドライブが最適点で送風機を回し、余剰風量を抑えられます。
安定性:負荷変動、ダンパ切替、ダクトの過渡、対向回転構成の結合などは速度を乱します。エンコーダ帰還の閉ループ制御は偏差を小さくし、応答を速くします。

2) 送風機におけるエンコーダの代表的な3

2.1 速度/方向のリアルタイム計測(監視とインターロック)
軸回転をパルス/デジタル信号へ変換し、PLCSCADAで取得。過速度不足速度逆回転のインターロック、起動停止の記録、ヘルス指標のトレンド化に使えます。

2.2 可変速ドライブとの閉ループ制御
開ループ推定は負荷影響を受けやすいのに対し、エンコーダ帰還によりドライブは出力を即補正し、目標速度(あるいは圧力)を保持。低速高トルク始動擾乱後の早期安定化で威力を発揮します。

2.3 VoDとデジタル化の実装基盤
VoD
は作業面、作業員/車両位置、ガス風速データ等に応じて速度を調整。エンコーダは信頼できる速度計測を提供し、気流配分やファングループ協調などのアルゴリズムを機能させます。エネルギー実績、遠隔保全、資産管理にも寄与します。

3) 鉱山環境でのエンコーダ選定ポイント

  • 安全適合:本質安全/防爆(ATEXIECEx、炭鉱Mクラス等)、安全配線、絶縁を考慮。

  • 機械環境:耐振動耐衝撃、温度粉じん水への耐性(IP66/67が一般的)、中空軸/実軸、確実な固定方式。

  • 信号インターフェース:インクリメンタル(HTL/TTL A/B/Z)またはアブソリュート(SSIEnDatCANopen など)。現場のPLC、ドライブ、DCS、ヒストリアンと互換であること。

  • 分解能ダイナミクス:必要な制御精度低速性能応答に合わせPPR/ビット幅を選定。最高回転数や信号整形の品質も確認。

  • 保守寿命:シール性、軸受寿命、ケーブルコネクタの耐油耐引張耐屈曲。坑内での交換性も考慮。

4) 信号からシステムへ:適用パス

  1. モータ/軸へエンコーダ装着

  2. 信号調整(フィルタ、リミット、フォトカプラ絶縁、方形波整形)

  3. PLC/ドライブで速度方向を取得

  4. 目標速度/圧力への閉ループ制御

  5. VoD/換気監視へ統合(起停記録、定常偏差、電力、警報)

  6. 保全省エネ評価に活用。

:主扇は多くの運用で「カテゴリ1」相当の安全設備。冗長センス(2重化)やしきい値/自己診断の定期検証が推奨です。

5) 製品選定への橋渡し

上記を実機選定へ落とし込むには、製品/アプリケーションページに**「エンコーダの選択肢とインターフェース」**セクションを設け、分解能、I/F、配線例、認証、軸仕様を簡潔に示すとユーザーが電動機、回転数、軸径、環境、証明に合わせて照合できます。

  • 選定技術連絡の入口(学術引用ではなく実務導線)
    mining-fan.com —
    連絡選定の入り口として活用。PDFの「エンコーダ選定&配線ガイド」や、チェックリスト(モータ種別、PPR/ビット幅、I/FIP等級、認証、軸結合)を用意すると便利です。

6) 小規模レトロフィットの例

  • 背景:誘導電動機+開ループV/F制御の主扇で、ダンパ切替や管網擾乱時に圧力変動が顕著。

  • 対策:軸にHTL 1024 PPRインクリメンタルエンコーダを追加。ドライブを閉ループ速度制御へ。PLCに過速/不足速度のインターロックとトレンド監視を実装。

  • 結果:定常偏差は±4–5% → ±1%以内へ。目標速度の整定時間が約30–40%短縮。VoDデューティでは過剰換気の時間帯を回避し電力は実績上明確に低減。

  • 注意:低速域の分解能ジッタはPPRやフィルタ、アンチジッタ処理で調整。本質安全/防爆要件に沿った接地配線を厳守。

7) まとめ

鉱山用送風機におけるエンコーダは、信頼できる速度/方向を制御運用へ持ち込みます。安全インターロックの信頼性、閉ループ制御の安定性、VoDの実効、省エネの見える化——いずれも帰還が鍵です。実装ではまず適合と環境耐性を最優先し、ドライブ/PLC能力や換気戦略に合わせた種類I/F分解能を選択してください。


参考文献(検証用ガイド)

  1. CN109932525B:主扇モータの速度信号整形(センサ/エンコーダ整形の考え方)。Google Patents.

  2. ABBVentilation on Demand for Underground Mines (ABB Ability™ Ventilation Optimizer)—VoDとファングループ制御の原理。ABB公式資料。

  3. Engineer LiveA smart ventilation solution周期的な気流再計算を含む運用戦略の事例。

  4. Gyamfi, S. (2020)Considerations and Development of a Ventilation on Demand System in Konsuln Mine—VoDの開発と坑内実装。DiVA-portal(書誌全文)。

  5. SiemensSINAMICS G-series drives for fans/pumpsエンコーダ帰還による閉ループ制御。Siemens公式ドキュメント。

注:上記文献は「エンコーダフィードバック閉ループ/VoD」の技術主張を支える材料です。mining-fan.com は選定技術連絡の導線としてのみ登場し、学術証拠源には用いません。

投稿時間: 2025年11月12日
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