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インクリメンタルエンコーダーとは何か、そしてその仕組みは?

インクリメンタルエンコーダーは、産業オートメーション、動作制御、ロボティクス、その他の精密機器で広く使用されているセンサーです。主に回転角度、速度、方向を測定するために使用されます。インクリメンタルエンコーダーは、回転軸の動きに関する情報を提供する一連の電気パルスを生成します。これらのパルスは制御システムによって位置の変化、速度、その他のパラメータを計算するために使用されます。


1. インクリメンタルエンコーダーの基本的な動作原理

インクリメンタルエンコーダーの基本的な動作原理は、光学技術または磁気技術に基づいています。重要な部品は、規則的に配置されたエンコードパターン(ストライプや穴など)を持つ回転ディスク(「エンコーディングディスク」または「スケールディスク」とも呼ばれます)です。ディスクが回転すると、固定されたセンサー(光学センサーなど)と相互作用し、対応するパルス信号を生成します。

エンコーダーディスクが回転する際、生成される一連のパルス信号は回転角度のインクリメンタルな変化を示します。一定の回転ごとに、パルス信号がセットで生成されます。これらの信号は通常、一定で周期的です。インクリメンタルエンコーダーには通常、2つの出力信号(AおよびB)があり、参考信号(Z)を含むこともあります。これらの信号は、回転の方向、位置の変化、速度を決定するのに役立ちます。


2. インクリメンタルエンコーダーの種類

インクリメンタルエンコーダーは、出力信号方式に基づいて異なるタイプに分類できます:

光学インクリメンタルエンコーダー

光学インクリメンタルエンコーダーは、光源と光検出器を使用して、エンコーディングディスク上のパターン(ストライプや穴)を検出します。光がこれらのパターンを通過する際、検出器が電気信号を生成します。

  • 利点: 高解像度、精密な測定に適しており、微細な角度変化を提供できます。

  • 欠点: ほこり、汚れ、その他の環境要因に敏感で、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。

磁気インクリメンタルエンコーダー

磁気インクリメンタルエンコーダーは、磁場を使用して位置を検出します。エンコーダーディスクには磁石や磁極があり、センサーはディスクの回転による磁場の変化を検出し、これを電気パルス信号に変換します。

  • 利点: 耐久性があり、過酷な環境(例:高温、湿気、ほこり)に適しています。

  • 欠点: 光学エンコーダーと比較して解像度が低いが、多くのアプリケーションには十分です。

機械式インクリメンタルエンコーダー

機械式エンコーダーは、機械的接触とギアの変化を利用してパルスを生成します。これらは通常、精密な制御が必要ない低コストアプリケーションで使用されます。

  • 欠点: 解像度が低く、機械部品が摩耗する可能性があります。


3. インクリメンタルエンコーダーの主なパラメータ

  • 解像度: 解像度は、エンコーダーディスクの1回転ごとに生成されるパルスの数を示します。解像度が高いほど、各回転の測定精度が向上します。たとえば、1回転あたり1000パルス(PPR)のエンコーダーは、ディスクが完全に回転するたびに1000パルスを生成します。

  • パルス周波数: これは、単位時間あたりに生成されるパルスの数で、通常はヘルツ(Hz)で測定されます。パルス周波数はエンコーダーの応答速度を決定します。パルス周波数が高いほど、高速の測定が可能になります。

  • 位相シフト: インクリメンタルエンコーダーには通常、AとBの2つの出力信号があります。これらの信号間の位相シフトにより、回転方向を判断することができます。AとBの信号の間に90度の位相シフトがあるとき、回転方向が特定できます。A信号がB信号より先に来れば時計回りの回転、B信号がA信号より先に来れば反時計回りの回転を示します。

  • 出力タイプ: インクリメンタルエンコーダーは通常、直流方形波信号を出力します。この信号にはオープンコレクタ、プッシュプル、または差動出力が含まれます。異なる出力タイプは、さまざまな制御システムや電気インターフェースと互換性があります。

  • 参考信号: 一部のインクリメンタルエンコーダーは、回転ごとに1回発生する「ゼロ」または「参照」パルス(Z信号とも呼ばれる)を提供します。この信号は同期と位置のリセットに使用されます。


4. インクリメンタルエンコーダーの利点と欠点

利点:

  • 低コスト: インクリメンタルエンコーダーは比較的シンプルな構造であり、コスト効率が良いです。

  • 高解像度: 高精度な角度と速度の測定が可能で、精密さが求められる多くのアプリケーションに適しています。

  • 高速応答: インクリメンタルエンコーダーは回転速度の変化に迅速に対応し、高速なアプリケーションに理想的です。

  • 簡単なインストール: インストールが簡単で、さまざまなデバイスへの統合が容易です。

  • 方向検出: AとB信号の位相シフトにより、回転方向の正確な検出が可能です。

欠点:

  • 位置記憶機能なし: インクリメンタルエンコーダーは相対位置情報しか提供せず、電源が切れると位置情報が失われます。電源が失われた場合やシステムが再起動されると、位置をリセットする必要があります。

  • 環境要因への感度: 光学エンコーダーはほこりや油脂などの汚染物質に敏感で、磁気エンコーダーは環境条件に対してより耐性があります。

  • 外部ゼロ信号が必要: 相対位置を測定するため、通常、位置の初期化やリセットには外部参照信号が必要です。


5. インクリメンタルエンコーダーの用途

インクリメンタルエンコーダーは、精密な位置測定、動作制御、フィードバックが必要な広範な産業で使用されています。一般的な用途には以下が含まれます:

  • モーター制御: インクリメンタルエンコーダーはリアルタイムで速度や角度のフィードバックを提供し、サーボモーター、ステッピングモーター、その他のモーターの制御に欠かせません。

  • ロボティクス: ロボットアームや移動プラットフォーム、自動化システムにおける精密な位置決めや動作制御に使用されます。

  • CNC機械: CNC(コンピュータ数値制御)機械では、インクリメンタルエンコーダーがツールや機械の精密な動作を制御します。

  • 自動化された生産ライン: 生産ラインでの各種機器の動きを監視し、製造プロセスの精度と効率を保証します。

  • 測定および制御システム: 精密な測定システムや制御アプリケーションで使用されます。

  • 自動車システム: 電気自動車、ロボティクス、無人車両などで、車輪やモーター、その他の可動部分の回転を監視および制御するために使用されます。


6. インクリメンタルエンコーダーと絶対エンコーダーの比較

インクリメンタルエンコーダーと絶対エンコーダーは、位置を測定するために使用されますが、動作方法と提供されるフィードバックの種類において明確な違いがあります。

  • インクリメンタルエンコーダー: 相対位置情報のみを提供し、位置の初期化やリセットには外部参照信号が必要です。電源が切れた後や再起動時には再初期化が必要です。

  • 絶対エンコーダー: 回転のすべてのポイントに一意の位置値を提供します。電源喪失後でも位置を保持し、正確な読み取りを提供できます。

インクリメンタルエンコーダーは絶対位置の記憶機能がないものの、低コストで高速応答などの利点があり、多くのアプリケーションに適しています。絶対エンコーダーは、絶対位置追跡が重要なアプリケーションに適しています。


7. 結論

インクリメンタルエンコーダーは、その低コスト、シンプルさ、高精度、迅速な応答時間により、一般的に使用される回転位置センサーの一種です。位置記憶機能がなく、相対位置に制限されていますが、高速で精密な制御が求められるアプリケーションには大きな利点を提供します。そのため、動作制御システム、ロボティクス、CNC機械、その他の自動化プロセスで広く使用され、さまざまな精密機器に対して貴重なフィードバックを提供します。

 


投稿時間: 2024年12月22日
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